救われなかった誰かの思い出に

旧い、「誰か」の言葉を思い出す
 
「この世には“やらなければならない事”なんて何一つ無いけれど、“やってもいい事”はいくらでもある」
なんて・・・
 
こんなだから
私達はいつまでも
狂っているんだろうな・・・
 
生まれたからには生きなければならないなんて事も無い
生きている意味が無ければ死ななくてはならないなんて事も無い
生きたっていいし
死んだっていい
本当にそれを望むなら
 
でも、あらゆるものはもう既に“そのように”在るのだから
いかなる行動を起こそうと、それによる恩恵も弊害も
全て己の身で受けざるを得ない
 
 
冷静になれば
生きる事なんてリスクだらけで
幸せになるには割に合わない対価だとは思うけど
だから、夢なんて見るのかもね・・・
妄想して、幻想に縋って
いつか、本物になれたら・・・なんて
 
昨日苦悶の中で死んでいった私を礎に生まれた今日の私もやがては明日の私の礎
どんどん遠ざかっていくし、記憶も曖昧になっていく
記録だけが褪せずにその時のまま
 
その時の痛みを許せたなら・・・
その時に・・・
 
それでも
私達はまだ生きていて
生きているが故に
この痛みも
消えはしない
 
それでも
私達は生きている